いつの間にか歳を取った。
15年ぶりの拠点訪問。入社直後の多感な青年が涙と汗を流した場所。
現場のあんちゃんが駅まで送ってくれた最後の日と、少しも変わらず、澄んだ空が広がっていた。
それが昨日のことだと聞かされても何の違和感もない。
気怠さも、長閑さも、陰鬱さも、部屋の匂いまで、何もかもが連続していた。
増えたのは私の年齢と首の皺だけ。
奇しくもその前日、私の家族の大切な人を見送った。
時の流れは残酷である。
私たちは、そこにある石を右から左へ動かすような仕事を行い、ただただ無意味に死んでゆくのである。
世界は何も変わらない。
しかし、だからこそ命は繋がり、会社は存続し、文化が引き継がれる。
残酷であることは美しいと思う。