わだりんぶろぐ2

ポエム集

15年ひと昔

いつの間にか歳を取った。

15年ぶりの拠点訪問。入社直後の多感な青年が涙と汗を流した場所。

現場のあんちゃんが駅まで送ってくれた最後の日と、少しも変わらず、澄んだ空が広がっていた。

それが昨日のことだと聞かされても何の違和感もない。

気怠さも、長閑さも、陰鬱さも、部屋の匂いまで、何もかもが連続していた。

増えたのは私の年齢と首の皺だけ。

奇しくもその前日、私の家族の大切な人を見送った。

時の流れは残酷である。

私たちは、そこにある石を右から左へ動かすような仕事を行い、ただただ無意味に死んでゆくのである。

世界は何も変わらない。

しかし、だからこそ命は繋がり、会社は存続し、文化が引き継がれる。

残酷であることは美しいと思う。